合繊素材で天然素材の風合いを出す — 近年の素材技術の進化

「ポリエステルは安っぽい」「ナイロンはゴワゴワする」。かつてはそう思われていた合繊素材ですが、近年の素材技術の進化により状況は大きく変わっています。

この記事では、合繊素材で天然素材のような風合いを実現するための技術的なアプローチを、当社が日々の素材提案の中で扱っている視点から整理します。

合繊素材の「弱点」だったもの

ポリエステルやナイロンといった合繊素材は、速乾性、耐久性、シワになりにくさ、軽量性など、多くの機能的メリットを持っています。しかし従来は、天然素材と比較したときの「硬さ」「光沢」「冷たさ」が弱点とされてきました。

特にTシャツやカットソーのように肌に直接触れるアイテムでは、この風合いの差が着用感に直結します。そのため、「機能は合繊が良いが、肌触りはコットンがいい」というトレードオフが長らく存在していました。

風合いを変える3つのアプローチ

現在、合繊素材の風合いを天然素材に近づけるためのアプローチは、大きく3つの段階で行われています。

糸の段階でのアプローチ

原糸の段階で風合いを設計する方法です。代表的なものがスパンポリエステル(短繊維状に加工したポリエステル)で、通常のフィラメント糸(長繊維)と異なり、表面に適度な毛羽感を持たせることでコットンのようなソフトな肌触りを実現します。

また、異形断面糸(断面が丸ではなく、三角や十字などの特殊な形状をした糸)を使用することで、光沢を抑えたり、吸水性を高めたりといった効果を持たせることもできます。糸の段階で風合いを設計するため、洗濯を繰り返しても風合いが落ちにくいのが特長です。

織り・編みの段階でのアプローチ

糸自体は通常のポリエステルやナイロンであっても、織り方・編み方の組織設計によって風合いを変えることができます。たとえば、ゆるめの組織で編むことで柔らかさを出す、表裏で異なる組織にすることで肌面の質感を変える、密度を調整することで軽さやドレープ性を出す、といった設計です。

このアプローチは、糸のコストを抑えつつ風合いを改善できる場合がありますが、狙った質感を安定的に出すには組織設計の知見が求められます。

後加工でのアプローチ

生地が出来上がった後の染色・仕上げ工程で風合いを変える方法です。柔軟加工、ピーチ加工(起毛)、シルケット加工(光沢と風合いの調整)など、目的に応じた加工を施すことで肌触りや見た目を変えることができます。

最大のメリットは、ベースとなる生地の選択肢が広いことです。まず機能性やコストで最適な生地を選び、後から風合いを調整するという順序で設計できます。

何が「最適」かはアイテムと用途で変わる

どのアプローチが最適かは、製品の用途、求める風合いのレベル、コスト、ロットによって変わります。

肌に直接触れるインナーやTシャツであれば、糸の段階からソフトな風合いを設計するアプローチが効果的です。アウターやジャケットであれば、後加工で表面の質感を調整するだけで十分なケースもあります。

重要なのは、「合繊素材だから風合いはこの程度」と決めつけないことです。素材技術の進化により、合繊素材の風合いの選択肢は年々広がっています。

まとめ

合繊素材の機能性と、天然素材の風合い。かつてはトレードオフだったこの二つが、糸・織り編み・後加工の技術によって両立できるようになってきています。スタイルワークスでは、こうした素材の進化を常にキャッチしながら、お客様の製品コンセプトと用途に合った素材をご提案しています。

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