「スポーツアパレルをOEMで作りたい。まずは小ロットで」——この相談は年々増えています。フィットネスジムのオリジナルウェア、アウトドアブランドの立ち上げ、企業のチームウェア、アスリート監修のライン。背景はさまざまですが、共通しているのは最初から大量に作れないという点です。
ところが「スポーツアパレル OEM 小ロット」で相談先を探すと、出てくる会社の性格がばらばらであることに気づきます。昇華プリントの専門工場、定番ボディにプリントする会社、生地から設計する会社——同じ「スポーツアパレルOEM」を名乗っていても、できることはまったく違います。
本記事では、スポーツアパレルを分野ごとに分解し、どの分野を、どういう相手に相談すべきかを整理します。
「スポーツアパレル」は一つのカテゴリではない
まず前提を揃えます。スポーツアパレルは、作り方の観点では少なくとも4つに分かれます。
チームウェア・ユニフォーム系
サッカー、バスケ、野球などのチーム単位のウェア。昇華プリントで柄と番号を入れるのが主流で、ポリエステルのメッシュやドライ生地を使います。1チーム分=十数枚から作れる会社が多く、小ロットの壁は比較的低い分野です。
フィットネス・ヨガ系
ジムウェア、ヨガウェア、ランニングウェア。ストレッチと吸汗速乾が中心で、縫い目が肌に当たらない縫製(フラットシーマ等)が求められます。素材の伸縮性が高いぶん、縫製の難度は上がります。この分野の素材と縫製についてはジムウェア・ヨガウェアの素材と縫製で詳しく扱っています。
アウトドア・防水系
レインウェア、マウンテンパーカー、ウインドブレーカー。防水・撥水と、縫い目の処理が要点になります。ここが最も小ロットの壁が高い分野です。理由は後述します。
ライフスタイル寄りのスポーツウェア
スポーツの機能性をカジュアルの見た目に落とし込むタイプ。素材は機能系、シルエットはカジュアルという組み合わせで、機能と風合いの両立が課題になります。
小ロットの壁は「縫製」ではなく「素材と加工」に出る
「小ロットで作れますか」という問いに対して、実は縫製そのものはボトルネックになりにくいというのが実際のところです。数十枚から縫ってくれる工場は存在します。
壁になるのは、その手前です。
- 生地の最低発注数量:機能素材は既製の在庫が限られ、色を指定すると一気に数量条件が上がる
- 加工の最低ロット:撥水加工も防水コーティングも、加工機を1回動かす単位がある
- 副資材の最低数量:止水ファスナー、シームテープ、特殊なコードストッパーなどは調達単位が大きい
この構造は小ロット生産が難しい本当の理由で整理しているとおりで、どれか一つでも企画数量を上回った時点で、そこが下限になります。
とくにアウトドア・防水系が難しいのは、この制約が重なるからです。防水生地を選び、止水ファスナーを使い、縫い目にシームテープを貼る——という仕様は、素材・副資材・加工の3つすべてに最低ロットが発生します。防水と撥水の違いと、どちらが必要かの判断は防水と撥水の違いを参照してください。
発注先の3類型 — 分野との相性で選ぶ
1. 昇華プリント専業
チームウェア・ユニフォーム系に強い類型です。自社で昇華設備を持ち、十数枚から受けられることも珍しくありません。デザインを自由に入れられるのが最大の利点です。
一方、使える生地は昇華に適したポリエステル系に限られ、防水やコーティング系の企画には向きません。
2. 定番ボディOEM
既製のボディ(Tシャツ、パーカー、ジャージ等)にプリントや刺しゅうを載せる類型です。価格が読みやすく、納期も短いのが利点で、少数から対応できます。
反面、シルエットや素材は既製品の範囲に限られます。「この生地でこの形」という要望には応えられません。
3. 素材から設計する型(プロデュース型OEM)
生地選定と加工設計から入る類型です。機能を組み合わせる企画や、防水系のように制約が連鎖する企画に向きます。既製ボディでは実現できないシルエットや素材にも対応できます。
そのぶん、昇華専業のような十数枚という数量には対応できません。数量の下限は素材と加工の条件で決まります。
各類型の見極め方はアパレルOEM会社の選び方でも判断軸として整理しています。
スタイルワークスに相談する場合の条件
参考として、対応できる範囲を示します。
スタイルワークスは「カジュアルとスポーツの融合」をコンセプトに、合繊素材(ポリエステル・ナイロン)と機能加工(撥水・防水・ストレッチ・吸汗速乾・UVカット)の組み合わせ設計を強みとするプロデュース型のアパレルOEM/ODMです。自社工場は持たず、中国・ベトナムの提携工場と直接やり取りして生産管理を行っています。
ロットの目安は次のとおりです。
| 区分 | 相談目安 |
|---|---|
| Tシャツ・カットソー類 | 100着前後〜 |
| シームテープ加工付き防水製品 | 200着〜(業界標準は1,000着前後) |
| 合繊ジャケット・パンツ | 200着前後〜 |
アウトドア・防水系のように制約が重なる分野が主戦場です。 スタイルワークスでは、専門工場の一般的な最低ロットが1,000着前後であるシームテープ加工付きの防水ウェアを、200着からお受けしています。他社で断られた防水ウェアの案件を引き受けた例もあります(CASE 03:防水ジャケット・パンツを作りたいが、他社で断られた)。
一方で、チームウェアを十数枚から昇華プリントで、という企画には向きません。 その場合は昇華専業の工場に相談したほうが早く安く仕上がります。分野と相手の相性は、こうしてはっきり分かれます。
まとめ — 相談前に決めておく3つ
スポーツアパレルの小ロットOEMで相談先を絞るには、次の3点を先に決めておくと話が早く進みます。
- どの分野か:チームウェアか、フィットネスか、アウトドアか。分野が決まれば相手の類型も絞れます
- 既製ボディで足りるか:足りるなら定番ボディOEM、足りないなら素材から設計する相手
- 機能はいくつ重なるか:重なるほど制約が連鎖し、工程を組み替えられる相手の価値が上がります
「小ロットで作れますか」と聞く前に、「この仕様で、何着から成立しますか」と聞くほうが、返ってくる答えは具体的になります。
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