機能性の出し方は一つではない — 糸・織り編み・後加工の3つのアプローチ

「この製品に吸汗速乾機能を持たせたい」「撥水性が欲しい」。こうしたご要望に対して、実現方法は一つではありません。

機能をどの段階で付与するかによって、コスト構造、ミニマム、機能の耐久性、そして生地の選択肢がまったく変わります。この記事では、機能性を生地に持たせるための3つのアプローチと、その選び方の判断軸を整理します。

アプローチ①:糸自体に機能を持たせる

原糸の段階で機能が付与されているものを使用する方法です。吸汗速乾、接触冷感、抗菌防臭、UVカット、ストレッチ性など、繊維メーカーが独自に開発した機能糸がこれにあたります。

糸の段階から機能が組み込まれているため、洗濯を重ねても機能が落ちにくいのが最大のメリットです。機能の持続性を重視する製品に適しています。

一方で、使用する糸が指定されるため、生地の選択肢はその糸で織られた・編まれた生地に限定されます。機能糸ごとに供給ルートやミニマムの条件が異なるため、ロットの制約も考慮が必要です。

アプローチ②:織り方・編み方で機能を出す

糸自体には特別な機能がなくても、糸の形状や織り・編みの組織設計によって機能性を生み出す方法です。

高密度に織ることで防風性を出す、メッシュ組織で通気性を確保する、表裏で異なる組織にすることで肌面の吸汗性と表面の撥水性を両立させる。こうした設計は、糸のコストを抑えつつ機能性を実現できる場合があります。

ただし、狙った機能を安定的に出すには、組織設計と素材の組み合わせに関する経験と知見が求められます。

アプローチ③:後加工で機能を付加する

生地の染色工程や洗い加工の段階で、機能溶剤を付加する方法です。撥水加工、吸水速乾加工、抗菌加工、防汚加工など、幅広い機能をこの方法で付与できます。

最大のメリットは、ベースとなる生地の選択肢が広いことです。まず風合いやデザインで最適な生地を選び、後から機能を載せるという順序で設計できます。

一方で、後加工による機能は洗濯耐久性に限界がある場合があります。機能の種類と、求める耐久性のバランスを考慮した選定が必要です。

どのアプローチを選ぶかの判断軸

選択は以下の4つの要素の掛け合わせで決まります。

求める機能の種類と水準。 「完全防水」なら糸や構造レベルの設計が必要ですが、「撥水程度」なら後加工で対応可能です。洗濯耐久性をどこまで求めるかでもアプローチが変わります。

上代設定とのバランス。 機能糸はコストが上がります。上代に対して素材にどこまでコストを割けるかは現実的な制約です。

ロットとの兼ね合い。 アプローチによって使用できる生地の供給ルートが変わり、ミニマムの条件も変動します。小ロットの場合、既成の機能生地から選定するほうが現実的なケースもあります。

販売時期からの逆算。 機能糸を指定してキバタから作る場合と、既成生地に後加工を施す場合では、リードタイムが大きく異なります。

まとめ

「機能性を持たせたい」というご要望に対して、答えは一つではありません。どのアプローチを選ぶかで、コスト・ミニマム・耐久性・リードタイムが変わります。スタイルワークスでは、お客様の製品コンセプトと条件をヒアリングした上で、これらの選択肢を整理し、現実的に成立する組み合わせをご提案しています。

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