海外OEMでは、工場側に品質、納期、労務環境、透明性を求めるだけでなく、発注者側の条件設定も重要になります。短納期、低価格、頻繁な仕様変更を同時に求めると、工場側の工程に無理が出やすく、結果的に品質や納期のリスクにつながります。
Apparel Resourcesは、Evince GroupのShah Rayeed Chowdhury氏へのインタビューとして、エシカル調達とエシカルな購買の関係を取り上げています。記事では、持続可能な産業を作るには、工場側のコンプライアンスだけでなく、買い手側の価格や発注条件も公正である必要があるという問題提起がされています。
何が起きたか
記事では、消費者が「どこで、誰が、どのような環境で作った服なのか」を気にするようになり、ブランド側も工場の労務環境や透明性を確認する流れが強まっていると紹介されています。バングラデシュについても、Rana Plaza以降、コンプライアンス面で大きく変化してきたことが触れられています。
一方で、記事が強調しているのは、エシカル調達は一方通行では成り立たないという点です。工場に高い基準を求めるのであれば、買い手側も適正な価格、現実的な納期、無理のない発注条件を考える必要があります。
また、調達国を評価するときには、単純な賃金比較だけではなく、生産性、工場運営、物流、コミュニケーション力なども見るべきだという視点が示されています。安い国だから有利、という単純な判断だけでは、実際の総コストや安定性を見誤ることがあります。
なぜ今注目したいか
アパレルOEMでは、発注者側が希望条件を整理しないまま、価格と納期だけを先に詰めてしまうことがあります。しかし、素材、加工、検品、物流まで含めると、どこかに無理が出た条件は最終的にトラブルとして返ってきます。
たとえば、プリントや刺しゅう、染色、製品加工などを追加する場合、それぞれに確認と承認の時間が必要です。サンプル修正が多い企画で短納期を求める場合は、工場側の負担だけでなく、品質確認の時間も削られやすくなります。
エシカル調達というと大企業向けのテーマに見えますが、小ロットや新規ブランドにも関係します。無理な条件で進めると、発注者、工場、最終顧客のどこかに負担が偏ります。適正な条件を作ることは、結果的に商品品質を安定させるための実務でもあります。
発注者が確認したいこと
海外OEMを進める前には、次のような項目を確認しておきたいところです。
- 希望価格が、素材、加工、検品、物流まで含めて現実的か
- 短納期を求める場合、どの工程を省略せずに進められるか
- 仕様変更や追加加工が入った場合、追加費用と納期影響を認められるか
- 工場側に求める品質基準や労務面の確認項目が明確か
- 認証素材や環境配慮を求める場合、その分のコストと確認時間を見込んでいるか
- 発注量、支払い条件、検品基準が、工場側に過度な負担をかけていないか
特に、初回ロットでは「できるだけ安く、早く、良く」という要望をそのまま積み上げると、条件が矛盾しやすくなります。まずは、価格、納期、品質、背景確認のどれを優先するかを決めることが大切です。
スタイルワークス視点
スタイルワークスのように、素材、縫製、加工、海外OEMの相談を受ける立場では、発注者の希望をそのまま工場へ渡すだけではなく、条件同士の整合性を確認することが重要です。
たとえば、環境配慮素材を使いたい場合は、通常素材より選択肢やロット、納期が限られることがあります。刺しゅうや製品加工を加える場合は、加工工程と検品工程の時間を確保する必要があります。海外生産で価格を抑える場合も、輸送費、通関、為替、修正対応まで含めて考える必要があります。
今回の記事は、調達先の倫理性だけでなく、買い手側の発注姿勢も問う内容です。発注者にとっては、工場へ高い品質や透明性を求める前に、自社の仕様、予算、納期、変更ルールを現実的に整えておくことが、安定したOEMにつながります。
参考
- Apparel Resources: https://apparelresources.com/business-news/sourcing/ethical-sourcing-meets-unethical-buying-insights-shah-rayeed-chowdhury-director-evince-group/