新素材は採用商品から見る――Spiberのニット事例で考える混率と調達条件

新しい繊維を使った商品でも、その繊維だけで生地ができているとは限りません。素材名に加えて混率を見ると、商品企画で何を確認すべきかが具体的になります。

Spiberは2026年10月5日、Stella McCartneyの2026年ウィンターコレクションで、Brewed Protein™ファイバーを採用したニットウェア3型が展開されていると発表しました。使用素材は、Brewed Protein™ファイバー25%とRWS認証ウール75%の混紡です。(Spiberの公式発表)

商品採用の事例と、自社向けの調達条件を分ける

公式発表では、Stella McCartneyの直営店、公式オンラインストア、一部の取扱店での展開を案内しています。開発段階の素材紹介に加え、実際の商品に採用された例として見ることができます。(販売展開の公式案内)

ただし、ブランドの商品が販売されていることから、同じ素材を自社のOEM商品へ同じ条件で使えるとは判断できません。発注を検討する場合は、糸や生地としての提供形態、供給窓口、希望する数量への対応、納期を確認します。販売商品の採用実績と、自社が調達できる条件は別の確認事項です。

混率を起点に、完成品で確かめる項目を決める

今回の事例は、Brewed Protein™ファイバーとウールを組み合わせたニットです。新素材の名称だけで風合いや取扱いを決めず、採用する糸、生地の構成、厚み、編み方と合わせてサンプルを確認したいところです。

たとえば、肌に触れる商品の場合は手触りや着用感、重ね着するニットなら重さや厚み、想定する洗濯・保管条件では寸法や外観の変化を見ます。これらは商品企画に応じた確認案です。今回の発表から、個別商品の洗濯耐久性や、別の混率でも同じ仕上がりになることまでは確認できません。

基準にしたい現物や色見本を用意し、試作で見たい項目を加工先と共有すると、素材の印象と商品の合否を分けて判断できます。

環境に関する説明も、素材ごとに範囲を確認する

発表は、使用したウールをRWS認証ウールと説明しています。この記載をもって、混紡する別の素材や、完成品全体が同じ認証の対象であると広げて表現しないことが大切です。(素材構成の公式説明)

自社の商品紹介で認証名や環境に関する説明を使う場合は、対象となる素材・製品、確認資料、表示できる範囲を供給元へ確認します。新素材を使用しているという事実と、従来品より環境負荷が小さいという比較評価も区別します。比較を掲載するなら、対象工程や条件が分かる別の根拠が必要です。

発注前にそろえたい四つの情報

  • 素材と混率:使用する糸・生地の品番、素材構成、希望する色や風合い。
  • 供給条件:提供形態、最小ロット、試作数量、量産と追加生産の納期。
  • 確認する品質:用途に合わせた外観、着用感、寸法、取扱い後の状態と合否基準。
  • 説明の根拠:素材名・認証名・環境に関する表示の対象範囲と確認資料。

新素材の採用商品は、使い方を考える入口になります。発注へ進む際は、採用事例をそのまま仕様に置き換えず、自社の商品に必要な混率、品質、数量、表示の条件を試作と資料で確かめます。

出典・参考資料

  1. Spiber:Stella McCartney 2026年ウィンターコレクションのニットウェア3型への採用発表(2026年10月5日)

※2026年10月12日に確認した公開情報をもとに編集。発注時の確認項目は編集上の提案です。当社での取扱い・採用実績、OEM向け供給条件、個別商品の試験結果は本稿では確認していません。

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